松山青年会議所
理事長所信

はじめに

家庭においては、こころはおろか本能すらを失った親たちが、信頼と絆を失った子どもたちに殺められてしまい、

教育現場においては、いじめ問題に歯止めはかからず、敬われるべきはずの教師は、保護者に理不尽で利己的な要求を押し付けえられ、子どもたちに人の道を説くことよりも、保護者の顔色を伺うことに振り回されてしまい、

経済環境においては、企業理念は形骸化し商道徳は失われ、企業が消費者に対しての欺瞞や隠蔽に心血を注ぎ、

地域においては、むこう三軒両隣に住んでいる人は何処の誰だかわからないままで、テレビのインタビュアーが来たと思えば、その隣人は大きな事件の犯人だったりします。

戦後60余年の間、我々の祖父母や先祖たちが『なんとしても生き延びよう』とまさに死ぬ思いで働き、奇跡的な復興を遂げた日本。
がむしゃらに働き、夢見てきた未来の日本は、物質的に豊かであれば心が貧困に喘いでようと構わない社会だったのでしょうか。

大人たちは子どもたちの前で我慢することを忘れ、道徳心でなく『個人的御都合主義』を実践し育てています。公共心や人助けの精神、『ありがとう』と『おたがいさま』と言う言葉が形骸化しているのです。
「『いただきます』を給食で言わせるな」、「没収された期間の携帯電話基本料金は学校が払え」と言うことを平気で言う親が存在する事が現実です。
このような特殊な例だけではなく、例えばテレビでどこかの国で起きた戦争を伝えられると、眉をしかめながらも「邦人の被害者はありません」と言う情報で胸を撫で下ろしたりします。子どもたちはそういったところを見逃しません。

我々が先人から受け継いで来たものは何か、何を手に入れて何を失くしたのか。 得られたものの有難さを忘れ、何を失ったかも解らない刹那的な御都合主義がまかり通る世の中。

そんな中で、我々はJAYCEEとして何が出来るのでしょうか。
地域に根を張るLOMとして、何をなすべきなのでしょうか。

しっかりと目的を見据えていますか

みなさんが地域に根ざす青年会議所メンバーの一員(JAYCEE)として活動されている今の目的は何ですか?
松山青年会議所へ入会した当時の目的は何ですか?

個人の目的はそれぞれ違えど、その個人が集まり青年会議所として大きな目的を成し遂げるために『組織体』として活動しています。

このまちのために、
  このまちを受け継いで行く未来の子どもたちのために、
    先達から受け継いできたものを次の世代へ引き渡すために、

様々な手法手段としての事業を用いて『まちづくり』『ひとづくり』を実践します。

この青年会議所の目的を達成させようと努力することは、皆さんの個人としての目的を達成させる手段でもあります。いわば自己修練・人間力形成・人脈作り・マネジメント力育成・揺るがない友情などです。これらは事業を通じて努力することによって産みだされる、いわば『唯一、個人が持ち帰ることのできる報酬』のようなものです。
なのに出席をしない、たまに出ても発言もしない、知恵を出さなければ汗も出さない。
これでは持って帰る成果どころか、副産物すら産み出しません。
『もったいない』とは思いませんか?

大きな目的へ向かって歩んでいく途中、踏まえるべき小さな目的を見出すこともあるでしょう。しかし、その小さな目的を達成させることは、あくまでも手段でしかありません。そこで本来の大きな目的を棚上げしておくと、あたかもその『手段』を達成させることこそが『目的』であると、致命的な間違いを起こしてしまいます。

じっくり議論と分析を

諸先輩方が55年にも亘り築き上げてきた(社)松山青年会議所の輝かしい歴史のなかで、『明るい豊かな社会の実現』を目的として、それを達成させる為の手段として根底にあったものは『事業』です。

過去55年の間、『明るく豊かな社会』の理想形は、時代背景や景気の移り変わりにあわせ様々な形に姿を変え、その間『手段としての事業』も、諸先輩方の手によって時代の流れに即したスタイルに姿かたちを変えながら続いてきました。

今、我々が継続的または単発的に行っている事業は、組織としての想いや目的が全てのメンバーに正確に伝わっているでしょうか。
そして、確実にみんながその方向を目指しているのでしょうか。

手段を検討するにあたっても、組織全体がひとつの目標を認識していなければ、いくら会議を開いたところで、妙案はでてくるはずもありません。

自分たちが行ってきた事業が、目的達成に向けてどれだけの実績を上げたのか、何が問題点で、改善すべきところは何か、といった『分析』作業が欠落しているか、もしくは形骸化してしまっているのが現状です。

そこには『単年度制の弊害』と言う言い訳のもと、PDCAのサイクルを次へ伝えきれていないと言う問題点が浮き彫りになってきます

青年会議所活動としての事業で、どれだけ理想の目的に近づける事が出来たのか検証を行い、その先にあるべき理想の姿と現実とのギャップを捉えて補正をしていく、またその事業の方向性を見直す必要はないのでしょうか。

それを踏まえて改善することを『進化』と呼ぶのではないでしょうか。

そういった姿勢に今一度立ち返ってJC活動を行う時期ではないでしょうか。

羅針盤とずれはありませんか?
今の時代に即していますか?
今どれだけ進んでいますか?
あとどれくらいでゴールが見えますか?

がっちりと手を携えて

まちづくりはひとづくりだとよくいわれます。
特に若い世代の人が育たなくては、このまちに未来はありません。
しかし、子どもたちや若い世代に堂々と胸を張って道を説く事が出来る大人があまりにも少なくなってしまいました。

そんな中で、わたしたちJAYCEEに求められる姿は、地域に根ざした活動を行う中で、堂々と胸を張って、本来の大人の姿を体現することではないでしょうか。

組織を離れ『個人』として活動する際『JAYCEE』であることに誇りを持ち、それぞれのステージでオピニオンリーダーとして活躍されているメンバーや諸先輩方を拝見すると、この組織の根底にある『率先して行動する』と言う精神が広く浸透していることを強く感じます。

我々(社)松山青年会議所では2006年度の総会において、(社)日本青年会議所全国会員大会主管へ立候補する事が決議されています。
全国の熱い思いを持ったJAYCEEを松山の地にお迎えをし、市民と共にホスピタリティの心を持っておもてなしをする。
そのためにはLOMが一丸となり、市民と共に動き、県内・四国内のLOMと共に手を携えて行動しなくてはなりません。

たちまち2008年度主管が決定している愛媛ブロック会員大会において、県内10LOMがひとつになり、ふるさと愛媛を愛する青年会議所同志が連携をより深められるような絆を作り上げましょう。
そして四国地区協議会へ地区会長を輩出するLOMとしても『率先して行動する松山JC』の姿勢でアプローチしていきましょう。

とはいえ、我々は地域に根を張る青年会議所として、決してLOM事業をおろそかにするわけにはいきません。目的と手段を考えれば、『全国大会のために事業の規模縮小や中止』などは本末転倒の話です。

これほどの大きな大会への主管立候補と言う勇気ある決断をしたことを誇りに、何事においても率先して行動しましょう。私たちの力は常に試されているのです。

市民からも。
他LOMからも。
そして自分自身からも。

おわりに

決して目的無く、手段から論ずる事なかれ。
目的が明確であってこそ、そこへ到達する為の手段が生まれます。
手段は決してひとつでは無く、遠回りをする事があるかも知れません。

このまちのために、我々の力を集めなにかをしたい
決して何かをする事が目的ではありません。
『明るい豊かな社会』を築くために何をすべきか、何が出来るのか。

しっかりと目的を見据えていますか
じっくりと議論を交わしていますか
がっちりと手を携えていますか

我々が理想として掲げる『明るく豊かな社会』
これを実現させる事こそが『目的』であることは明確です。

見えない未来に向かって、その時点で最適であると判断された手段を用い、総力を結集して活動を行う。しかも常に進化をし続ける。
まさに青年会議所が青年会議所たる活動と言えるのではないでしょうか。

力を集め、時の声を揚げ、自らが活動して流れを変える。
我々JAYCEEは、黒田如水の人生訓といわれる「如水五訓」にもあるような、水のような存在であり続けようではありませんか。

【参考】如水五訓(じょすいごくん)

  • 自ら活動し他を動かしむるは水なり
    (みずからかつどうしたをうごかしむるはみずなり)
  • 常に己の進路を求めて止まらざるは水なり
    (つねにおのれのしんろをもとめてやまらざるはみずなり)
  • 障害に逢ひて激しく其勢を百倍し得るは水なり
    (しょうがいにあひてはげしくそのせいをひゃくばいしうるはみずなり)
  • 自ら潔らかにして他の汚を洗ひ清濁併せ容るるの量あるは水なり
    (みずからきよらかにしてたをあらひせいだくあわせいるるのはかりあるのはみずなり)
  • 洋々として大洋を充たし発しては蒸気となり雲となり雨となり雪と変し霰となり凝ては玲瓏たる鏡となり其性を失はざるは水なり
    (ようようとしてたいようをみたしはっしてはじょうきとなりくもとなりあめとなりゆきとなりへんしあられとなりこおりてはれいろうたるかがみとなりそのせいをうしなはざるはみずなり)
松山青年会議所

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